あの時、売らなかったのはなぜだ?「まだいける」か?「もう少しだけ」か?──答えろ。含み益を守れなかった“お前の言い訳”を。
成功は運でも起きる。失敗には原因がある。原因は特定でき、対策は仕込める。にもかかわらず、失敗は語られない。見栄と恐れが口を閉ざすからだ。ここではそれをこじ開ける。数字で、論理で、言い訳を削る。
取り上げるのは、投資歴20年の元金融機関勤務・yamaさんの“大きな挫折”。テーマは「利益確定ミス」。上がっていたのに、利確を躊躇して資金が減った。どこが地雷だったのか、数字と手順で解剖する。
何が起きたか(時系列とミニチャート)
時系列ログ(価格/判断/結果)
- Day 0(購入): A社テック、3,200円で100株エントリー。
- Day 10(急騰): 4,800円(+50%)。利確ルール不設定。「もう少し伸びる」とホールド。
- Day 14(反転): ガイダンス弱含み。終値3,500円。未利確。
- Day 20(急落): 3,100円(高値から▲35%)。含み益ほぼ蒸発、評価損へ。
ミニチャート(ASCII)
価格
4800 | /\
4500 | / \
4200 | / \
3900 | / \
3600 | / \
3300 | / \
3000 |/ \
D0 D10 D20 時間
1,600円/株の含み益が、たった2週間で水の泡。さらに元本まで削られた。「利確していれば…」という後悔だけが残る。数字は冷酷だ。一度ボタンを押し損ねると、緑は赤に変わる。 このチャートは、誰かの失敗じゃない。“お前の来週”かもしれない。
「押せなかった」は甘えじゃない、敗北だ。利確不能症を叩き潰せ
判断ミスじゃない。利確を「押せなかった」という敗北だ。価格じゃない、自分に負けたんだ。上昇中の「まだいける」は脳内報酬系の錯覚。出口を先に決めない限り、欲がルールを食う。利確は感情のイベントではない。事前合意した数値の執行だ。
「全部売るな、半分でいい」——分割売却は理性を保つ武器
全利確は“取り逃し恐怖”を最大化する。段階利確なら、勝ちを確定させつつ、追加の上値も狙える。ポジションを分ければ、後悔も分けられる。理性は“少し残す”ことで守られる。
他人の声を聞くな。自分の投資シナリオを貫け
仲間の「まだ伸びる」は、あなたの損失を肩代わりしない。他人の熱はあなたのボラティリティだ。自分のバリュエーション、シナリオ、リスク上限に照らし、出口を機械的に執行しろ。
次の利確を迷ったら、それは“準備不足の証明”だ。行動テンプレで叩き込め
利確ルール・メモテンプレ
- 銘柄/数量:
- エントリー価格:
- 一次利確ライン(+%):
- 二次利確ライン(+%):
- トレーリング撤退(高値から▲%):
- 利確理由(数値根拠):
- 感情ログ(当時の心の動き):
- 残ポジ比率(利確後):
- 結果(1週間・1か月後の価格):
- 学び(癖の特定):
これを書かずに次のトレードに行った奴。次のドローダウンもお前の責任だ。ルールは紙にちゃんと書き、発注画面の横に貼れ。
前トレード振り返りシート(1枚で完結)
- 事前計画: 目標価格/出口条件/想定シナリオ
- 実行: 利確の有無/タイミング/乖離の理由
- 心理: 迷いの瞬間/外部影響(SNS・友人)
- 結果: P/L/最大ドローダウン/機会損失
- 次回対策: ルール修正/遮断すべき情報源
ルールの数値化(3点セット)
- +20%到達で保有の50%を利確。
- +30%到達で残りの25%を利確。
- 高値から▲10%で残り全て利確(トレーリング)。 これで「期待」「反転」「崩れ」に対処。迷う前に指を動かす。
実行の情景
板を開く。ラインに触れたらクリック。半分売る。メモに「価格/理由/残比率/感情」を即書く。SNSは利確前後30分閉じる。自分の画面だけで決める。これが“見える化”だ。記録はちゃんと残せ。癖が見えれば、次は止まれる。
問いと答え(根拠を明示)
- 問い: 含み益+20%。あなたはどうする?
- 答え: 売る。半分を、必ず。根拠は——
- 平均回帰の現実: 短期の急騰は調整を挟みやすい。上昇後のボラ拡大は定番だ。
- ドローダウン管理: 半分利確で“勝ち”を確定し、残ポジの下落許容を小さくできる。
- 行動経済学の罠回避: 保有効果と損失回避が判断を歪める。段階利確はその影響を物理的に弱める。
相場で死ぬ奴は、「様子見」を繰り返した奴だ。何もしてない時間が、最も高くつく。 僕の経験では、20〜30%での段階利確は未実現益の蒸発を顕著に減らす。答えは“売る”だ。
さらに深める問いと仮説
- 欲と信念の境界線はどこか? 仮説:数値で裏付けられるか。業績、バリュエーション、シナリオが数字で語れるなら信念。語れないなら欲。
- なぜ利確を“攻め”と感じるのか? 仮説:未実現益という“夢”が残っているから。数字より感情が前に出ると、ボタンは重くなる。
- 投資で大事なのは勝つことか、負けないことか? 仮説:長期では「負けないこと」。複利は損失回避で守られる。利確は複利を守る“盾”だ。
泥を見せろ。傷を誤魔化す奴は、次も同じところで転ぶ
yamaさんは傷を隠さなかった。価格、タイミング、迷い——全部出した。だから信頼できる。格好いい成功談より、みっともない失敗のログが人を救う。あなたも、自分の失敗を一枚に並べろ。その泥が、次の一歩の滑り止めになる。
まとめ:ボタンを押せ。今すぐ。感情の代わりに、ルールで金を守れ。躊躇した瞬間、含み益は敵になる
含み益は賞金じゃない。いつでも逃げる裏切り者だ。
- 今日決める
- +20%で半分利確。
- +30%でさらに利確。
- 高値から▲10%で残り全て。
- 今日やる
- 直近3トレードの「利確できなかった理由/感情」を1行ずつ書く。
- 上のルールを紙に書き、発注画面の横に貼る。
次に含み益が出たら、迷う前にボタンを押せ。手が動けば、資金は守れる。
読者との対話を深める
- 「あなたの失敗談を、武器に変える」 コメントで失敗事例を募集。数字・判断・結果を分解し、匿名で記事化。あなたの経験が、次の誰かの損失を防ぐ。
- 「利確できない人間心理」を断ち切る実践法 損失回避/確証バイアス/保有効果に効く具体的行動リストを徹底解剖予定。
- 「仲間の言葉が投資を狂わせる?」 会話ログから学ぶ“罠とヒント”。意思決定を守るコミュニケーション設計を紹介予定。
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