「ちゃんと」向き合う、80歳からの財産整理

〜“その日”が来る前に、やるべきことは決まっている〜

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通帳が見つからない。それが、始まりだった。

「おばあちゃん、通帳ってどこにあるの?」

母の問いに、祖母は少し困ったように笑った。

「どこだったかねぇ……引き出しか、押し入れか……」

数日後、病院の会計窓口で、母は言われた。 「通帳がないと、手続きはできません。」

その場で立ち尽くす母。 後ろには、順番を待つ人たちの視線。 手の中には、祖母の診察券と、折れた保険証だけ。

祖母は、手続きが止まっていることすら知らず、ただ申し訳なさそうに「ごめんね」とつぶやいた。

その後、介護サービスの申請も止まり、年金の手続きも進まなかった。 通帳が見つからないだけで、家族は何もできなくなった。

ここまで準備がないと、家族は“助けたいのに手が出せない”という最悪の状態になる。 明日は我が身だ。通帳が一枚見つからないだけで、あなたの家族も同じ状況に陥る。

“備え”がないという現実は、静かに、でも確実に生活を止める。

「財産整理」は、誰のためにやるのか?

80歳を過ぎたら、人生は「整える」時間に入る。 体のこと、住まいのこと、そしてお金のこと。 どれも避けては通れない。

でも、こう思っていないだろうか?

「うちは財産なんて大してないし、遺言なんて大げさだよ」 「専門家に頼むと高そうだし、難しそう…」

その気持ちは自然だ。 だが、放置すれば、家族は“何も知らないまま”混乱と手続きに追われる。

通帳が見つからない → 手続きが止まる 保険の存在を誰も知らない → 受け取れない 相続人がもめる → 感情の対立が起きる

そして最後に残るのは、家族の対立だ。 小さな不便が、やがて大きな崩壊を呼ぶ。

「困らないように」ではなく、「困らせないために」準備する。 それが、財産整理の本質だ。

「自筆証書遺言」と「財産リスト」で、未来を守る

まず知ってほしい。 遺言書は、弁護士に頼まなくても作れる。

それが「自筆証書遺言」だ。 2020年からは、法務局で保管してくれる制度も始まった。

  • 保管費用は3,900円 → 手軽に始められる
  • 書式のチェックあり → 書き方の不安を減らせる
  • 家庭裁判所の「検認」不要 → 相続手続きがスムーズになる

だから、やらない理由がない。

そしてもう一つ。 「財産リスト(財産目録)」を作っておくこと。

これがあるかないかで、家族の負担は大きく変わる。

たとえば、こう書いてみてほしい。

  • 【預貯金】〇〇銀行 普通預金 口座番号:1234567
  • 【不動産】兵庫県〇〇市〇〇町〇丁目〇番地の土地・建物
  • 【証券】〇〇証券会社 口座番号:XXXXXX
  • 【貴金属】金のネックレス(タンスの右上の引き出し)

金額は不要。 「何が、どこにあるか」がわかれば、それで十分だ。 それだけで、家族は迷わず動ける。

このリストがあるだけで、家族は“探す”時間を“支える”時間に変えられる。

今日中に、“財産リストの下書き”だけは絶対に作ってほしい。 それが、あなたの家族を守る第一歩になる。 今日書かなければ、明日も書かない。明日書かない人は、一生書かない。 忙しい? それを言い訳にした人から順に、家族に負担を残していく。

「伝える」とは、想いを手渡すこと

ここで、ひとつ聞かせてほしい。

もし明日、あなたが倒れたら──その想いは、誰が拾う?

……答えがすぐに出なくても構わない。 でも、考え続けるのが怖くても、考えることをやめた瞬間に、誰かが困る。 その答えを曖昧にしたままでは、家族は動きようがない。

未来は勝手に整わない。整えるのは、いつだって「今の自分」だ。

「伝える」とは、完璧な言葉を選ぶことじゃない。 あなたの想いを、形にして残すことだ。

🌿 制度を知れば、家族の負担は減らせる

準備を進めるうえで、知っておくと安心な制度がある。

  • 預金等照会制度  → 口座探しのために、何日も家中をひっくり返す必要がなくなる。
  • 法定相続情報証明制度  → 書類を何度も集め直す手間がなくなる。家族の時間と心を守れる。

制度は“家族の混乱を防ぐ道具”だ。 知っているだけで、安心が違う。

🍁 まとめ——整えて、託す。それが「ちゃんと生きる」こと。

80歳を過ぎたら、人生は「終わり」ではない。 整えて、託す時間が始まる。

  • 想いを伝える
  • 財産を残す
  • 未来を守る

それは、自分のためであり、家族のためでもある。 そして、“その日”が来たときに、誰かを守る力になる。

あなたが準備しなければ、その負担は必ず“家族の誰か一人”が背負う。 あなたが向き合わなかった現実は、必ず誰かが代わりに受け止める。そして、それはいつも一番弱い人だ。

🌸 最後に、あなたへ

「まだ早い」と思ったなら、それは今が始めどきだ。 ノートを1冊用意して、財産リストを書き出してみよう。

難しく考えなくていい。 思い出すままに、書けるところからでいい。 でも、今日だけは、必ず一行目を書いてほしい。

一行書けば、未来は動き始める。書かなければ、何も変わらない。

📌 次回予告

次回は、「財産リストの作り方」をもっと具体的に。 ひな型やチェックリストもご紹介します。 あなたの“備え”を、形にするお手伝いをします。

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